Skyllaの箱庭

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軍艦の進化と種類(5)

軍縮条約明けから第二次世界大戦(WW2)の話。(後編)


■駆逐艦
条約が明けた事で小さな船体に無茶な武装をする必要が無くなり、水雷戦隊向けの2000tの駆逐艦が量産された。
コイツラは4連装酸素魚雷2基(計16発)35ノットで、マイナーチェンジで朝潮型、陽炎型、夕雲型が有る。(主に航続距離延長と工期短縮)
あと実験的に2500tの丙型駆逐艦島風が作られた。
40ノットの高速で5連装酸素魚雷3基(計15発)の高速重雷装だったが、重雷装による遠距離雷撃上手く行きそうに無い事や、コストもろもろで量産されなかった。

他にも空母部隊の防空護衛向けに長10cm高角砲8門の2700tの乙型駆逐艦秋月型や、短い工期で建造できる低コスト小型の1300tの丁型駆逐艦松型が量産された。
コイツラは敵艦と積極的に殴り合う艦では無い魚雷を装備していた。
これを無駄な装備だと批判される事も有るが魚雷は必要だった。

魚雷で戦果を上げる機会は少なかったけど、それは相手が魚雷を喰らわない様に行動したからであって、魚雷が役に立たなかった訳ではない。
駆逐艦が必殺の魚雷を持っている事で相手は不用意に突撃できなくなった。
雷撃運動を行えば相手は攻撃や追跡を中断して回避運動しなければならなかった。
弾切れでも撃つフリをすれば相手は対応する必要に迫られた。

サマール沖海戦でも追撃中の大和と長門が魚雷回避の為に1時間も敵と反対方向に走らされている。
回避せずに無闇に突進して魚雷に当って脱落した重巡も居た。
つまり数が多くて一々構ってられない様な護衛艦が魚雷を持っている事には大きな意味が有った。

個人的にはもっと航続距離が欲しかったと思う。
肝心な所で追撃を諦めたり脱落したり巡航速度を落としたりして、追いつかれて各個撃破されたりって場面が有った。(特にレイテ沖海戦の帰りに酷い目に遭った)
秋月型は大柄だけど、航続距離の要求からあの大きさになった。

根本的な原因は補給用タンカー不足と、ちんたら補給する制海権制空権が無かった事だけどね。


■潜水艦
戦前日本は大きく3種類の潜水艦を作っていた。
・巡潜型、単独で長躯長期間作戦を行う大型大航続距離で水上機搭載の潜水艦
・海大型、水上艦に随伴して海戦と連携する為の大型高速の潜水艦
・海中型、有事に量産する事を考えて技術実証目的の小型の潜水艦


しかし太平洋は広く航続距離の短い海中型には活躍の見込みが無かったので、開戦前には全て退役した。
海大型でも航続距離は不足だったが戦力としては貴重だったので活躍した。
巡潜型は機関の技術が向上した事により海大型と同等の速度を出せるようになった。
よって、大きく3種類の巡潜型が開戦数年前から戦時中にかけて量産された。
・巡潜甲型、水上機搭載能力や旗艦能力が有る潜水艦
・巡潜乙型、水上機搭載能力が有る標準の潜水艦
・巡潜丙型、水上機搭載能力を省いた潜水艦


と言う事で開戦時には
海大型20隻、旧巡潜型8隻、巡潜甲型2隻、巡潜乙型6隻、巡潜丙型5隻が居て戦時中は主に巡潜乙型が量産された。

他にも特型(伊400型)とか離島防衛用の小型も作られたが、大型の潜水艦の過半数は水上機搭載能力を持っていた。
伊達や酔狂や実験で積んだのではなく、実用として搭載していた。
そしてこの水上機は敵根拠地の偵察や索敵や爆撃等で大活躍している。
現在に至るまでアメリカ本土爆撃に成功したのはコイツだけだ。しかもちゃんと生還している。
よく、一度発進したら合流生還が難しく低性能なので自殺同然の偵察だった、と書かれているが実は大戦末期の絶望的に不利な時でも60%以上の生還率で、普通の偵察機よりも生還率が高かった。

あと、日本は潜水艦による通商破壊を軽視して戦闘艦ばかり狙ったからダメだって言われるけどそうでもない。
大規模海戦との連携や特別な作戦や偶発的に出会った時はともかく、普段は通商破壊を積極的に行っていた。
少なくともアメリカよりは通商破壊を重視していた。
って言うかアメリカは戦闘艦ばかり狙っている上に、戦闘艦を優先的に狙うように何度も通達が出ていた。

末期は首が廻らなくなってきて、本来の任務そっちのけで孤立した離島基地への輸送までやっていたが、規模の割りに搭載力が少ない上に損耗が多かったし本来の任務ができなかったので、本来の任務に戻す為に別腹で輸送用の潜水艦も作った。

この時陸軍は「海軍は輸送をやってくれない」と勘違いして超小型の輸送潜水艦を海軍に秘密で作った。
でも技術蓄積の無い組織で無理やり造ったので実用に耐えがたく、お披露目した後は海軍の協力で改良されていった。

もう戦争の勝敗とかどうにもならなくなっていたけど、最後は格納庫やカタパルトを撤去して回天を積んだりして、水上艦が完全に引き篭もった後も終戦まで作戦行動を続行していた。

よく回天は非人道的兵器と言われるが、普通の魚雷と比べて発射場所が特定され難いので、母艦の生存率が飛躍的に向上して人的被害が減った。
まあ、非人道的な事に変りは無いし外道だけどね。


■対潜水艦戦
日本は輸送船の対潜護衛が疎かでシーレーンを軽視しているとか言われるけど、別に軽視はしてた訳ではない。
駆逐艦以外にも対潜装備の充実した海防艦や駆潜艇や掃海艇を多数建造し、それらには駆逐艦より優先的に新型のソナーや爆雷を装備していた。
巡洋艦を旗艦とした掃討部隊や対潜専用の航空機まで作り、タイミングが合えば駆逐艦も護衛を行っていた。
って言うか、戦闘艦がボコボコ潜水艦に沈められているのに、これ以上輸送船護衛に回せって言うほうが無茶だ。

あと対潜用の海防艦を戦時中に大量生産したけど、戦前から量産してなかったのが悪いとか言うのは的外れな批判だ。
海防艦と言う名前の船を量産したのは戦時中だが、同じ目的の違う名前の船は色々量産していた。

それでもボコボコやられたのは、アメリカが潜水艦を無茶苦茶大量生産したからだ。
ぶっちゃけ建造リソースを全て対潜艦に割り振っても足りないぐらい無茶苦茶な物量差だった。ブルジョワめ!
足りなかったのは事実だが軽視していた訳ではない。(負け惜しみw)

アメリカの対潜兵器は末期のヘッジホッグ(イギリス製)は優れていたが、それ以外の爆雷やソナーは特に優れている訳ではなかった。
通常爆雷攻撃する時はソナーで探って潜水艦の上を通過しながら爆雷投下するのだが、爆雷の衝撃でソナーが壊れない様に保護するので、攻撃の直前には探知できなくなる
これがヘッジホッグなら前方に投射する事ができるので、探知しながら発射できるし射程も沈降速度も有って使い易かった
日本も15cm9連装墳進爆雷砲なる前方投射兵器を実験してたけど、量産配備には至らなかった。

アメリカは末期に対潜誘導魚雷も試験的に使ったが。まだ実用とは言い難い完成度だった。
ただ、レーダーを積んだ大型機による夜間哨戒が厄介だった。
当時の潜水艦は充電や換気のため水上を航行する時間の方が長いので、夜間レーダーで見つかってやられたり先回り待ち伏せされたりした。

ピコーン!
「昼間浮上して夜間潜行すればいいんじゃね?」
って発想で生き延びた人も居たけどねw

そして駆逐艦の数が異様に多かった。正確には戦前に大量生産しすぎた旧式駆逐艦が時代遅れで全く役に立たなかったので、新型駆逐艦を大量生産して大量の旧式駆逐艦が産廃になった。

米軍が日本の様に小型低コストの海防艦では無く駆逐艦を船団護衛に使ったのは、対潜を重視して貴重な駆逐艦を輸送船護衛に回したのではなくて、産廃の旧式駆逐艦を廃物利用したからだ。
それにコイツラは当時の駆逐艦に比べれて非常に小さく、機関を半分に減らしたり砲の一部や魚雷を撤去したりして、駆逐艦の名を冠してはいるが駆逐艦と呼べる様な代物では無かった。(そうでもしないと外洋を航行できなかった)
まあ対潜用のフリゲート(日本の海防艦と同じ様な船)も追加で100隻ぐらい作ってたけどな、ブルジョワめ!

駆逐艦と海防艦だけ見たら戦争後半まで対潜の事を考えてなかった様に見えるが、対潜用の船は戦前から沢山作っていた。
むしろ主力の駆逐艦は対潜戦闘を行うには大きすぎて不便だった。
もっと小さくて小回りの効く船の方が潜水艦相手には強いのだ。
駆潜艇ぐらい小さければ喫水が浅くて魚雷もすり抜けるのだ。
駆逐艦の大砲も対潜には無用の長物なのだ。

って浮上して巡洋艦並の大砲を撃って来るなんて卑怯じゃねーか!

それと忘れがちだが米軍の潜水艦が充実する頃には、米軍の新しい水上艦大量に完成して押し寄せてきて、水上艦や空母で悠々と輸送船狩りをやってて、そちらの被害のほうが深刻だった。
例え開戦時から充分な数の海防艦が居て潜水艦を完封できたとしても、嬲り者にされる事に変りは無かった。

戦闘用の潜水艦を無茶な輸送で消耗せず、早く本来の任務に戻していれば向こうの水上艦はあそこまで好き勝手に闊歩出来なかった・・・かもしれない(弱気)

あと米潜に好き勝手にやられた印象だけど、実は参戦した米潜の2割が日本軍との戦闘で戦没している。
あの無茶苦茶な物量差で2割も損害を与えたのは物凄く健闘してると思う。


■航空母艦
一般人は洋上で作戦行動中の戦艦を航空機だけで撃沈できるとは想定していなかった。
だから、真珠湾攻撃やマレー沖開戦で航空機だけで戦艦を撃沈した時に世界中大騒ぎになった。

でも、これに驚いて空母を量産したわけでは無い
各国の軍は航空機と空母が海戦の勝敗を決すると考えて、開戦前には空母の建造競争が始まっていた。
戦争後半に月刊空母とか言ってアメリカが大型空母を大量に完成させたが、コイツラの多くは開戦前には既に建造が始まっていた。
アメリカと言えども大型空母や戦艦の建造には何年も掛かるのだ。
ただ、日本がどっちを重視するか悩んでいる時に、両方を各5倍ぐらい同時に作っちゃうところが怖いのだ。ブルジョワめ!
開戦時に「1年間は暴れまわってみせる」と言ったのは、1年後にはこいつらが完成する事を知ってたからだ。

日本も翔鶴クラスと蒼龍クラスのどちらを量産するか悩んでいたが、爆撃で飛行甲板を破壊される可能性への対応を考えて、翔鶴クラスの量産型として飛行甲板を重装甲化した大鳳と、蒼龍クラスの量産型として雲龍の建造を始めた。(少し小さめのドック・船台でも作れる)
そしてミッドウェー海戦で大型空母4隻を失って、少しでも工期短縮が必要ってことで大鳳型の量産を諦めて雲龍型を量産した。(思ったほど短縮できなかったけどね)
結局15隻計画して3隻完成して3隻建造中だったけど、空母で作戦を行えるような状況では無くなってた。

そんな訳で、両軍とも戦艦を主役としておったてながらも、空母同士の戦いで勝敗が決する事が多かった。
でも、守勢になってからは基地からの航空攻撃の方が有効になったので、末期は囮にしたり引き篭もったりって感じだった。
(守勢では空母の利点が少ない)

勝敗の行方には物凄く重要なんだけど消耗品で、空母本体の性能の優劣よりもが重要だったと思う。
飛行機を作っても載せる空母が無かったとか、空母を作っても載せる飛行機が無かったとか言われるけど(どっちやねんw)、ぶっちゃけ途中から守勢で空母の出番が無かった。
どっちみち飛行機は沢山必要だし足りなかったけどね。

あとカタパルト欲しい離陸用補助ロケットエンジンでもいい、これが有れば飛行甲板の短い小型空母でも新型機の発進ができるし甲板上の搭載機数も増える。
カタパルトは艦内スペースを食って搭載機が減るって事で日本は離陸用ロケットを作った。
でも完成した頃には空母で作戦を行う状況ではなかった。


■結局何が足りなかったのか?
ぶっちゃけ数が足りなかった
数を補うために武装を増やし、被弾で数が減るのを防ぐ為に装甲を増やし、部分的にでも数の有利を作る為に速度を増やし、荒天でも参加艦艇の数を増やす為に航洋性を増やしたり、遠くの基地から駆けつけて戦力集中する為に航続距離を延ばした。
航空機に手をつけたのも局地的な数の優位を作り出す為だ。

よく日本は個艦の能力を重視して数を疎かにしたと批判されるがそれは違う
条約で数を制限されてる時は既存の艦艇の改造と条約に縛られない補助艦の建造に勤め、条約明けと同時に既存艦の大規模改装をキャンセルしてまで全てのドックや船台をフル稼働して数を増やそうとした。
(長門型は馬力2倍&水上機格納庫の高速航空戦艦に改造する為に先に部品を作っていたが、股間性能よりも数を増やす為に改造をキャンセルした)

大型の戦艦や空母を建造可能なドックや船台は日本に4つしか無くて、そこで大和型と翔鶴型を作りながらドックを新造して信濃を作り始めた。
開戦で中止されたが大型ドック付きの新しい海軍工廠の建造もやってた。
そして中型小型のドックや船台で中型以下の艦艇を絶え間なく作った。

駆逐艦にしても従来の駆逐艦より大型で強力な特型駆逐艦を作った事を、もっと小さいのを沢山作った方が良かったと言う人も居るが、荒天外洋で作戦可能な最低限の小さな船体なのに、更に小さい物が何の役に立つだろうか?
戦場で作戦行動できない艦を300隻作っても役に立たない。
ゼロに何を掛けてもゼロにしかならねえんだ!
(アメリカへの皮肉w)
(船団護衛はできるので無駄にはならないがw)

もし本当に個艦性能を優先していたなら、雲龍型ではなく大鳳型を量産しただろう。
松型駆逐艦も作らなかっただろう。

これ以上性能を妥協したとしても差ほど数を増やせたとは思えない。
むしろドックの大きさに合わせて限界までコンパクトに作ったのだから、これは数を揃えるために性能を妥協していたと言ってもいいだろう。

結局、数を一番重視して、数を補う為にあの手この手を尽くしたけど、数が足りなくて負けたのだと私は思う。

ただ、もうちょっと早く降参する事はできなかったのかなあ;;


■それでは最後に俺流軍艦紹介

・戦艦
 圧倒的タフネスと火力と運用コストを誇る主役。
 そこに居るだけで敵は喧嘩を売ることを諦める不戦勝の王者。
 補給・修理する時、最も金と時間の掛かる厄介者。
 すなわち重要なのは存在する事であって、戦闘には参加しない方がよい。

・重巡洋艦
 高性能レーダーにしてS級脇役の万能アタッカー。
 弱い物にはめっぽう強いが所詮主役にはなれない。
 条約の狭間に産まれたうだつの上がらない連中。

・軽巡洋艦
 アタッカーにして万能の脇役。
 小細工に長けており、脇役が1番似合う。
 でも海戦ではたいてい最初にやられる。

・駆逐艦
 絶大な威力を誇る最強の魚雷使い。
 言わずもがなであるが、敵が恐れているのは魚雷であって魚雷使いでは無い。
 海戦以外は送迎やドラム缶輸送として地味な日々を送る普通の船。

・潜水艦
 水中からコッソリ魚雷を撃つアタッカー。
 単独の敵や民間船にはめっぽう強いが、海戦中はずっと隠れている。
 卓越したソロ能力ゆえに、撃沈スコアだけは唸るほど持っている。

・航空母艦
 戦場の支配者にしてもう1人の主役、海戦における神。
 神性と虚弱性の両面で天国に最も近い船。
 戦っているのは航空機なので海戦中は逃げ回っている。

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